「ケンチョピア」に波風[#takaue55]

県庁前のヨットハーバー「ケンチョピア」で、管理強化に踏み切った県と利用者の間でさざ波が立ち始めた。利用者は「十分な協議がされていない」と管理方針の見直しを求める署名を提出。背景にはこのハーバーの成り立ちがあるという。県庁北側の道路一本隔てた新町川。約170隻のヨットや船舶がずらりと並ぶ。徳島市は2010年、ヨットや眉山が見える絶好の観光名所として「とくしま市民遺産」に認定。県も「東洋のベネチア」と呼んでアピールする。ところが、東日本大震災の被災地で停泊船が市街地まで流された被害を重くみた県は昨秋、「ケンチョピア津波対策検討委員会」を設置。3月に県条例を改正して放置船を罰する区域とし、停泊船や乗り降りする浮桟橋の長さに応じた利用料の徴収を今月から始めたところ、利用者から反発の声が上がった。

利用者によると、このヨットハーバーの始まりは1970年代。市中心部に近い使い勝手の良さが口コミで広まった。当時から、係留ロープをまく専用設備はなく、川岸の手すりを代用。岸とヨットまでを結ぶ浮桟橋は所有者たちが計数千万円を出し整備したという。「ヨットマンがケンチョピアを造った」と徳島市に住むヨット歴40年の男性(64)は自負する。県港湾空港課によると、河川を管理する県は76年から、船の係留を認め、浮桟橋の設置についても容認してきた。利用料の徴収もメンバーが停泊するヨットクラブや利用者が自発的に納める仕組みだったという。

県は今月8日、改正条例に基づいて利用料を払わない無許可船を調査。95隻に警告書を張った。これまで6隻が利用料を払い、35隻が持ち主不明の放置艇で、残り54隻も支払いを拒否。同課はケンチョピアの位置づけを「あくまで暫定施設」とし「財政的にも新たな整備は厳しく、県民からは廃止の声もある」と指摘する。これに対し、県内外の利用者やその家族など206人分の請願署名が28日、県議会に提出された。請願書は「使用料の設定や、許可申請手続き等に関する通知の取り消しを求める」と訴える。

利用者によると、利用料の改正前と後ではそれほど負担は変わらないという。ただ、3月末にあった県の利用者説明会に出席した徳島市の男性(57)は「利用料がどのように使われるかも説明がなかった。お金だけ払って、管理が不十分では納得いかない」と話す。ヨット歴30年の徳島市の自営業、近藤益生さん(53)は「この場所をもっと観光客に楽しんでもらえる場所にしたい。そのため、ヨットマンと行政が協力していくべきだ」と話す。

対策検討委の委員長を務める山中英生・徳島大教授は「今は防災面が重視されているが、今後の対策委では市民目線に立ち、防災と景観を兼ね備えたケンチョピアになるよう提案していきたい」と話している。

(伊藤あかり)

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